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アシアナ航空M&A契約解除及び手付金2,500億ウォン訴訟で勝訴

  • ニュースレター
  • 2025.05.19

現代産業開発とアシアナ航空による総額2兆5,000億ウォン規模のM&A契約締結後、新型コロナウィルスによるパンデミックの影響でアシアナ航空の営業・財務状況が悪化した状況を受け、買主側が買収条件の見直しなどを主張し、売買・買収代金の支払いを拒否した事案において、法務法人(有)和友(以下「和友」)の企業訴訟グループは、売主側を代理し「契約解除および手付金2,500億ウォンの没収」が適法であることの確認訴訟を行い、全部勝訴判決を勝ち取りました。

 


 

1.事案

2.裁判所の判断

3.判決の意義

 


 

1. 事案

 

アシアナ航空及び錦湖建設(以下「原告ら」)は、2019年12月27日、現代産業開発および未来アセット証券(以下「被告ら」)と総額2兆5,000億ウォン規模の大型M&A契約(アシアナ航空の旧株売買契約および新株引受契約、以下「本件契約」)を締結し、手付金として約2,500億ウォンを受領しました。

 

その後発生した新型コロナウイルス感染症によるパンデミックの影響で、アシアナ航空の営業・財務状況が悪化すると、被告らは取引条件の見直しなどを主張し、売買・買収代金の支払いを拒否しました。

 

これに対して原告らは、2020年11月、被告らの取引完了義務違反を理由として本件契約を解除するとともに、約2,500億ウォンの契約金の返還債務が不存在であることの確認、手付金に設定された質権の消滅通知、ならびに契約不履行による損害の賠償を求める訴訟を提起しました(以下、「本件訴訟」といいます)。

 

2. 裁判所の判断

 

本件訴訟において、被告らは、本件契約の締結後に新型コロナウイルス感染症によるパンデミックなど重大な悪影響(MAE)が発生した、航空機リース負債にかかる会計処理が会計基準に違反するなど表明保証の違反がある、 アジアナ航空の永久転換社債発行に関連して被告らの事前同意権が侵害されたなどの理由を挙げ、本件契約のクロージングの前提条件が満たされていないと主張しました。また、彼らはそのような前提条件の充足に関する確認が必要であるとしただけで、明示的にクロージングを拒否した事実はないため、原告らが本件契約を解除したことは適法ではないと主張し、手付金として受け取った2,500億円の返還を求める反訴を提起しました。

 

これに対し、原告らは、本件契約に基づく取引完了が実現できなくなった根本的な原因は、被告らが新型コロナウィルスのパンデミックによりアシアナ航空の営業・財務状態が悪化すると、買収に負担を感じた買主側がアシアナ航空の買収を放棄したことにあり、買収契約締結後に急激に下落したのはアシアナ航空の価値ではなく、買主側の買収意欲であることを指摘しました。 また、このような買主の変心が「確約違反」、「前提条件の未充足」、「重大な悪影響の発生」といった用語で粉飾されてはならないという点を強調する一方、膨大な資料を時系列で並べて分析し、本件契約は被告らの責めに帰すべき事由により適法に解除されたことを効果的に論証しました。

 

これに対し、 裁判所は、 第1審と第 2審 及び 最高裁 すべてにおいて 、 被告らが主張した 前提条件の不充足に関する事項は全く根拠がなく、前提条件が全て満たされたにもかかわらず、被告らが取引完了を拒絶したため、原告らが本件契約を解除したことは適法であると判断しました。そして、裁判所は、本件契約が被告らの責めに帰すべき事由により解除されたものと判断し、原告らに手付金2,500億ウォンを返還する義務がないことを確認するとともに、被告らに対し、手付金に設定された質権の消滅通知をすることと、原告らに本件契約の不履行による損害を賠償することを命じる判決を言い渡しました。

 

3. 判決の意義

 

本件訴訟は、「重大な悪影響(MAC)」、「表明保証」、「確約義務」、 「手付金の性質(違約罰か損害賠償の予定か)」、「履行拒否」の ようなM&A契約において問題となり得るあるゆる論点を深く掘り下げて扱った事案であり、今後、M&A取引に関連する紛争において重要な先例となるものと思われます。

 

加えて、本件は、M&A契約の締結過程において、将来の紛争の可能性も考慮して契約条項を細心の注意を払って作成しなければならないことや、紛争が予想される場合には、迅速に専門弁護士の助力を受けて訴訟リスクを管理しながら必要な対応戦略を策定することが非常に重要であることを示した良い事例といえます。

 

和友の企業訴訟グループは、企業を取り巻く多様な訴訟について、訴訟の進め方、立証活動など訴訟・仲裁全般について多面的かつ体系的な紛争解決に向けたリーガル・サービスを提供しており、今後、類似のM&A関連の紛争においても、本件訴訟のノウハウを基に、お客様に正しい判決が言い渡されるよう最善を尽くしてまいります。 また、本案事件だけでなく、終局的な権利の実現に支障がないように、様々な類型の保全処分(各種仮差押え及び仮処分等)から強制執行に至るまで、総合的なリーガル・サービスを完璧に提供しております。 ご不明な点またはお問い合わせがございましたら、お気軽にご連絡ください。

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