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韓国大法院の全員合議体は、2025年9月18日、「国内で登録されていない特許権の特許技術が国内で使用された場合、その対価である使用料は国内源泉所得に該当する」と判示しました。これは、1992年以来約30年間、「国内で登録されていない特許の使用に対する対価は国内源泉所得になり得ない」としてきた従来の大法院判決をすべて変更し、原審判決を破棄して差し戻したものであり、大きな波紋が予想されます。
今後、海外法人に特許使用料を支払う企業は、国内の使用分に相当する対価については源泉徴収を行う必要があります。また、海外法人と特許ライセンス契約を締結する企業は、契約締結時に源泉徴収の範囲をどのようにするかなどについて、より明確に定めておく必要があります。
1. 事案の背景および争点
2. 裁判所の判断
3. 示唆
1. 事案の背景および争点
韓国法人S(以下「原告」)は、2011年ごろ米国法人から米国で特許侵害訴訟を提起され、2013年12月、米国に登録されている特許権に関して使用料を支払う代わりに世界でのライセンスを付与される内容の和解契約を締結し、訴訟を終結させました。
原告は、該当する使用料から法人税3億ウォンを源泉徴収して韓国国税庁に納付した後、「海外で登録されているが国内では登録されていない特許権に対する対価は国内源泉所得に該当しない」と主張し、2015年6月、被告(課税当局)に対して源泉徴収分の法人税の還付を求める更正請求を行いました。被告は2019年2月、原告の更正請求を拒否する処分を下し、これに対して原告が不服を申し立てて本件訴訟を提起しました。
本件の争点は、当該特許権が国内で登録されていなくても、その特許技術を国内で使用したことに対する対価を支払った場合、その対価を国内源泉所得と認めるべきかどうかという点です。
2. 裁判所の判断
ア. 原審の判断
原審(水原高等法院)は、特許権の属地主義に基づき、国内で未登録の特許権が国内で使用されるということは観念できないとした従来の大法院判例の立場に従い、本件使用料は国内源泉所得に該当しないと判断しました。すなわち、当該特許技術が国内の製造・販売過程で実際に使用されたかどうかを問う必要なく、国内で登録されていないという理由だけで課税対象ではないと判断しました。
イ. 大法院の判断(多数意見)
大法院の全員合議体は、「国内未登録の特許権の特許技術が国内で製造・販売などに使用された場合、その対価である使用料は国内源泉所得に該当する」と判示し、これと異なる旨の従来の最高裁判決をすべて変更し、原審判決を破棄し差し戻しました。
大法院全員合議体の多数意見は、以下のような理由を示しました。
1) 特許権の法的効力は登録されている国に限定される(属地主義)が、特許の対象となる製造方法、技術、情報など「特許技術」そのものは、国境に関係なくどこでも使用できると指摘しました。
2) 韓米租税協約第14条第4項は、使用料の対象として特許、著作権、ノウハウ、知識、技能などさまざまな無形資産を列挙していますが、これら無形資産に共通して適用される「使用」の意味は、登録によって発生する独占的権利そのものの使用ではなく、その中身である「技術や情報などの使用」と解釈するのが条項の体系に合致すると判断しました。
3) 特許権の属地主義は、特許権の効力範囲や侵害の有無を判断する基準にすぎず、特許技術の使用地域を制限する原則ではないとし、国内企業が事業上の必要から海外の特許権者と契約を結び、国内で未登録の特許技術を使用することは十分に可能であり、このような契約が属地主義に反するものではないとの考えを示しました。
4) 上記のような論理に基づき、韓米租税協約の文脈上、国内税法の適用を排除する特別な根拠がないため、「海外で登録されている特許権であっても、国内で製造・販売などに使用された場合は、国内で使用されたものとみなす」と定めた旧法人税法第93条第8号但書後段の規定がそのまま適用されるべきであると判示しました。
結論として、大法院 は、国内で未登録の特許権であっても、その対象となる技術が「国内で実際に使用されたかどうか」を基準として国内源泉所得に該当するかを判断すべきとし、従来の大法院判決をすべて変更しました。
3. 示唆
ア. 従来の判例の立場
過去、大法院は特許権の属地主義を厳格に適用してきました。特許権は登録されている国の中でのみ排他的効力を有するため、国内で未登録の特許権の「使用」は、国内では概念的に成立し得ないと考えられてきました。そのため、国内企業が米国の特許権者に関連する使用料を支払ったとしても、これは国内源泉所得には当たらず課税できないという立場を一貫して維持してきました (大法院2007年9月7日言渡し 2005ドゥ8641判決 など参照)。
イ. 対象判決の意義および示唆
今回の全員合議体判決は、30年以上維持されてきた判例を変更したものであり、「特許権の使用」と「特許技術の使用」を区別し、租税法の分野では法的権利の効力範囲よりも経済的実質、すなわち「技術が実際に使用された場所」が課税権の基準になるべきことを明確にしました。
この判決により、今後、課税当局は、外国法人に支払う特許使用料について、当該特許の国内登録の有無に関係なく、その技術が国内の事業活動に実質的に使用されたかどうかを確認し、積極的に課税を行うことが予想されます。したがって、国内企業は海外特許ライセンス契約を結び使用料を支払う際には、当該技術が国内で使用されているかどうかを綿密に確認し、源泉徴収義務の履行に慎重を期す必要があります。
今回の判決は、経済的実質を重視し、国富流出の防止を図ったものと見られますが、国内使用分の立証責任の問題や法的安定性の毀損など、多くの現実的課題を残しています。これらは今後、差し戻し審で再び議論される可能性が高く、税制政策や国際的な投資環境にも重大な影響を与えるものと考えられます。
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